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知らない経営者は要注意!? 固定費・変動費を理解しよう!

財務会計で使われる通常の損益計算書とは別に、管理会計で使われる、「変動損益計算書」というものがあることを御存じでしょうか。
その「変動損益計算書」の中身を見ると、通常の損益計算書においては、
「売上原価」・「売上総利益」・「販売費及び一般管理費」とあるところに、「変動費」・「固定費」・「限界利益」……なんていう言葉が並んでいます。
損益計算書
売上高 △売上原価 売上総利益 △販管費 営業利益
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変動損益計算書
売上高 △変動費 限界利益 △固定費 営業利益
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では、そのひとつひとつの意味を具体的に見ていきましょう。
「変動費と固定費」、「限界利益」
「変動費」とは、売上高に比例して増減する(変動する)経費のことを言います。
例えば、仕入れにかかった経費などがあります。
その他、荷造運送費などが当てはまります。
「固定費」とは、変動費とは逆に売上高に比例しない(固定の)経費のことを言います。
例えば、地代家賃などが該当します。
これはどんなに売り上げが上がったとしても一切変動することがないものです。
その他、社員の給与などが当てはまります。
そして、「限界利益」とは、売上高から変動費を引いたものを言います。
「限界利益」と「売上総利益」
変動損益計算書における「限界利益」と通常の損益計算書における「売上総利益」との違いはどこにあるのでしょうか。
一見すると同じようなものに見えますが、例えば製造業など売上原価に固定費が含まれている業種や、逆に販売費の中に変動費が含まれている場合などは全く違った数字になってきます。
「変動損益計算書」を作成する理由
用語の意味は分かりました。では、なぜこのような変動損益計算書を作るのでしょうか。
これは冒頭でも申し上げた通り、管理会計(会社の経営指針等)に役立てるためにあります。
例えば、原価率の変更・価格設定の変更など条件を変更しながら、利益を把握する場面において大変有効となります。
また、この際に変動損益計算書と密接にかかわってくるのが、「損益分岐点分析」というものになります。
これは、上記の変動費と固定費の考え方をもとに、「損益分岐点」を割り出し、目標とする営業利益を確保するためにどれだけの売上高や販売量をあげればいいのか把握するものとなります。
「損益分岐点」とは?
損益分岐点分析を行うにあたってまず把握しなければならないのが、「損益分岐点」となります。
損益分岐点とは利益の金額が0(ゼロ)となる売上高や販売量のことを言います。
では、その求め方を見てみましょう。
まず、固定費を計上します。
次に固定費に変動費を加算した総費用を計上します。
最後に売上高を計上します。
すると売上高と総費用の交わる点があると思います。
そこが損益分岐点となります。
数字に当てはめてみると、商品1単位当たり販売価格120円・変動費100円の商品があったとします。すると商品が1つ売れるごとに
120円(売上高)-100円(変動費)=20円の儲け(貢献利益といいます)
という計算が成り立つと思います。
もし、その会社の固定費が1,000円だったとしてその固定費をすべてまかなうには何個の商品を売ればいいのでしょうか。
固定費を先ほどの商品1つ当たりの儲けで割れば算出できると思います。
1,000円(固定費)÷20円(貢献利益)=50個…これが損益分岐点販売量です!
また、この販売量に商品1単位当たりの販売価格をかけたものが、損益分岐点売上高となります。
ひとまず会社経営にあたっては、この損益分岐点売上高を確保することが目標となります。
つまり、最初の変動損益計算書の話に戻ると、損益分岐点売上高とは貢献利益=固定費となる売上高というわけです。
また、これを使って、「値引きをした場合いくつの販売量を確保すればいいのか?」「販売価格は適正なのか?」「固定費を上げる場合(社員の昇給など)に確保すべき売上高は?」など様々な活用法があります。
さらに、「自社の業界・業種の限界利益率(売上高÷限界利益)の平均値と比べて、自社はどうなのか?」というような比較や、その業種において理想とされる限界利益率があるのでそこを目指した経営戦略を立てるため、などにも使われます。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
通常の損益計算書では見えてこないものが、変動損益計算書や損益分岐点分析によって見えてきたと思います。
これがいわゆる財務会計とは違う、管理会計と呼ばれるものの代表的な1つの手法をご紹介した形となります。
ぜひ、貴方の会社においても有効活用していただきたいものとなります。