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起業家コラム

消費税が安くなるかも!?消費税の簡易課税制度ってなに?

簡易課税制度とは?

消費税の課税事業者になると当然消費税の計算をする必要がありますが、その計算方法には原則的な計算方法と簡易的な計算方法(簡易課税制度)の2種類が存在します。
※以下消費税率を8%としてみて行きます。

原則的な計算方法
売上に係る消費税額から支払いに係る消費税を差し引いて計算する
課税売上高×8% - 課税仕入高×8%

※課税仕入高とは、単に仕入れだけを指すものではなく、消耗品や公共料金など、消費税のかかる全ての支払いをいい、給料や保険料、印紙代、税金関係など消費税のかからないものは含みません。

簡易課税制度の計算方法
売上に係る消費税額から一定の割合(みなし仕入れ率)を差し引いて計算する
課税売上高×8% - 課税売上高×8%×みなし仕入れ率

簡易課税制度のメリット・デメリット

簡易課税制度には以下のようなメリット・デメリットが考えられます。
メリット
・消費税の計算が簡単
・消費税額が安くなるケースがある

デメリット
・基準期間の課税売上高が5,000万円以下であること
・事前の届出が必要
・2年間の継続適用が義務
・消費税が高くなるケースがある
・還付が受けられない
・内容の異なる複数の事業をしている場合は、計算が複雑になるケースがある

原則的な計算方法では、売上についてはもちろんですが、支払いについても全ての取引について、課税取引、非課税取引等を区分する必要があるため事務負担が大きくなりますが、
簡易課税制度は、支払いについては全く考慮せず、売上の金額のみで消費税額を計算するため、事務負担が少なくなるというメリットがあります。

簡易課税制度の一番のメリットはやはり消費税額が安くなることですが、必ず安くなるわけではなく、逆に高くなるケースもありますので、あらかじめシミュレーションすることが重要となってきます。

簡易課税制度を選択する要件として、
・基準期間の売上高が5,000万円以下であること
・簡易課税制度選択届出書を納税地の税務署長に提出すること

があげられます。

基準期間とは、個人事業者の場合は2年前の1月1日~12月31日までとなります。基準期間の課税売上高が5,000万円を超えた場合は、簡易課税制度は選択できず、必ず原則的な計算方法となります。

また、簡易課税制度は、原則として簡易課税制度選択届出書を提出した翌年から適用されますので、事前の準備が必要となります。

簡易課税制度のみなし仕入れ率

簡易課税制度の計算方法は
課税売上高×8% - 課税売上高×8%×みなし仕入れ率

の計算式で計算しますが、みなし仕入れ率は事業の区分に応じて以下の第一種事業から第六種事業に分けられます。

・第一種事業(卸売業)    90%
・第二種事業(小売業)    80%
・第三種事業(製造業)    70%
・第四種事業(その他の事業) 60%
・第五種事業(サービス業)  50%
・第六種事業(不動産業)   40%

・第一種事業(卸売業)    90%
他の者から購入した商品をその性質、形状を変更しないで他の事業者に対して販売する事業

・第二種事業(小売業)    80%
他の者から購入した商品をその性質、形状を変更しないで消費者(事業者以外)に対して販売する事業

・第三種事業(製造業)    70%
農業、林業、漁業、鉱業、建設業、製造業(製造小売業を含む)、電気・ガス・水道業

・第四種事業(その他の事業) 60%
第一種事業~第三種事業、第五種事業~第六種事業以外の事業をいい、飲食店業などが該当します。
また、事業用資産を売却した場合も第四種事業になります。

・第五種事業(サービス業)  50%
飲食業以外のサービス業、運輸通信業、金融・保険業

・第六種事業(不動産業)   40%
不動産業

考え方のイメージとしては、
第一種事業は900円で仕入れた商品を1,000円で他の事業者に販売する
第二種事業は800円で仕入れた商品を1,000円で一般の消費者に販売する
第三種事業は700円で材料を仕入れ、それを加工し販売する
という感じでしょうか。
もちろん販売するためにはその他の経費もかかるため、それらの経費も含めて900円のものを1,000円で販売するなどと考えていただければと思います。

第五種事業のサービス業は多くの経費を必要としないため、みなし仕入れ率は50%と低めに設定されているものと考えられます。

簡易課税制度の計算方法、原則計算と簡易課税制度の比較

例えば85,000円(+消費税6,800円)で仕入れた商品を100,000円(+消費税8,000円)
で売った場合で消費税額を計算してみたいと思います。

原則計算 課税売上高×8% - 課税仕入高×8%
8,000円 - 6,800円 = 1,200円

簡易課税制度 課税売上高×8% - 課税売上高×8%×みなし仕入れ率
第一種事業(卸売業)の場合
8,000円 - 8,000円×90% = 800円

第二種事業(小売業)の場合
8,000円 - 8,000円×80% = 1,600円

原則計算では納付すべき消費税額は1,200円ですが、第一種事業を行っている事業者は納付税額が800円となりますので、簡易課税制度を選択した方が有利となります。

第二種事業を行っている事業者は納付すべき消費税額が1,600円となりますので、簡易課税制度は選択せず、そのまま原則計算の方が有利となります。

これらの計算は、一年分の課税売上高と課税仕入高の合計額で計算する必要があり、また予め届出書を提出しなければいけないため、過去の実績や今後の予定をシミュレーションすることが重要となってきます。

シミュレーションする際の注意点としては、通常は簡易課税制度の方が有利でも、翌年、車の購入や機械等の設備投資の予定がある場合は原則計算が有利となるケースがあります。
また、一般的に、来年以降の課税売上高が増加する見込みの場合は簡易課税制度が有利となり、課税売上高が減少する見込みの場合は原則計算が有利となります。

数字を当てはめてみて行きましょう。

例えば、年間の取引が次の通りとし、第一種事業(卸売業)と仮定します。
売上高 2,000万円(+消費税160万円)
仕入高 1,600万円(+消費税128万円)
変動費  50万円(+消費税4万)円)
固定費 100万円(+消費税8万円)

仕入率80%、変動費(売上高に比例して変動する経費)2.5%とし、固定費(売上高に関係なく毎月発生する家賃や光熱費など)は100万円とします。

原則計算
160万円 - (128万円+4万円+8万円=140万円) = 20万円

簡易課税制度第一種事業
160万円 - 160万円×90% = 16万円

原則計算20万円>簡易課税16万円 で簡易課税の方が安くなります。

仮に100万円(+消費税8万円)の車を購入したとすると、原則計算では8万円安くなり12万円、簡易課税は16万円のままのため、原則計算が有利となります。

もし売上高が半分に減少してしまった場合の消費税額は以下のようになります。

売上高 1,000万円(+消費税80万円)
仕入高  800万円(+消費税64万円)
変動費  25万円(+消費税2万)円)
固定費 100万円(+消費税8万円)

原則計算
80万円 - (64万円+2万円+8万円=74万円) = 6万円

簡易課税制度第一種事業
80万円 - 80万円×90% = 8万円

原則計算6万円<簡易課税8万円 で原則計算の方が安くなります。

更に売上高が減少すれば、原則計算の場合は消費税額がマイナス、つまり還付を受けることができるケースが出てきますが、簡易課税の場合は必ず納付額が発生し、還付になることはありません。

また、簡易課税制度を選択すると、2年間は強制的に簡易課税制度が適用されますので、長期間でのシミュレーションが必要となります。

簡易課税制度をやめるには

翌年に多額の設備投資がある場合や売上高が減少する場合は原則計算の方が有利となるケースがありますので、その場合は簡易課税制度をやめて原則計算に戻す必要があります。

簡易課税制度をやめるには、簡易課税選択不適用届出書を税務署に提出することになりますが、提出した翌年から適用されますので、前年12月31日までに絶対に忘れないようにしなければなりません。

前年12月31日までに届出書を提出できなかった場合

簡易課税制度を選択するときも、やめるときも、届出書を事前に提出しなければなりませんが、万が一出し忘れた場合でも諦める必要はありません。

個人事業者の課税期間は通常1月1日~12月31日の1年間ですが、その課税期間を3か月ごと、又は1か月ごとに短縮することができます。

課税期間を短縮するには…
・消費税課税期間特例選択・変更届出書を
・納税地の所轄税務署長に提出

となります。

届出書を出し忘れた場合でも1月1日以降に簡易課税制度選択(不適用)届出書を提出すれば、その次の課税期間から適用を受ける、又は適用をやめることができます。

例えば、2月に消費税課税期間特例選択・変更届出書を提出した場合、課税期間を1ヶ月ごとに区分した場合は、3月から簡易課税制度の適用を受ける(又はやめる)ことができ、3か月ごとに区分した場合は4月~6月の課税期間から受ける(又はやめる)ことができます。

簡易課税制度は本当に簡易か?

本来簡易課税制度は、経理担当者のいないような小規模な事業所の経理を簡便的にするために設けられた制度ですが、取引内容等によっては、計算方法や事業区分の判定が複雑になってきます。

一つの事業だけを営んでいる場合は問題ありませんが、第一種事業(卸売業)と第五種事業(サービス業)と第六種事業(不動産業)の3つの事業をしている場合などは、いくつかの計算方法があり、それぞれの方法で計算して一番税額が安くなる方法を選択することになります。

事業区分については、

一つの事業だけを営んでいるからといって、事業区分が一つだけになるとは限りません。

車などの事業用資産を売却した場合は、その取引は第四種事業となりますので、複数の事業区分が存在するケースも出てきます。

飲食業は通常は第四種事業ですが、持ち帰り・配達飲食サービス業に該当するものは、その業態等によって第二種事業又は第三種事業に区分する必要も出てきます。

最後に

簡易課税制度は消費税額が安くなるという大きなメリットがあるため、積極的に適用を受けるべきとは思いますが、適用要件の確認やシミュレーションをしっかりした上で選択することをお勧めします。

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