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起業家コラム

会社を設立したら忘れずに! 正しい役員報酬の決め方

会社を設立した場合、個人事業とは違い経営者自身にも給料が支払われることになります。
経営者や役員に対する給料は、従業員とは異なり「役員報酬」として税法上特別な決め事があります。

それもそのはず。
会社が取締役などの役員に支払う給与である「役員報酬」は、会社の損益計画や税金にも多大に関わってくるのです。
ここでは、役員報酬の決め方や注意点を見ていきましょう。

役員報酬とは

さて、上述した通り役員報酬とは会社の税金に大きく関わってくるとお伝えしました。
毎年どこの役員がどれぐらい稼いでいるのか話題になりますよね。

実はどこの会社も役員報酬は税法と照らし合わせて綿密に決定されています
何故なら、役員報酬は原則経費にできない(=損金不算入)と税法で決められているからです。
そのため、節税が効く範囲(=損金算入)で決める必要があるということですね。

では、現在税法上、会社の経費(損金)として認められるものは以下の6つです。

・定期同額給与:毎月一定の時期に定額で支払われる報酬
・事前確定届出給与:事前に税務署に届出をして、その届出の内容通りに支給される報酬(賞与)
・利益連動給与:大会社で認められている利益に応じて支払われる報酬(出来高のようなもの)
・退職金:その名の通り
・ストックオプション:現金の代わりに支給される自社株
・使用人部分の給与のうち相当なもの

これに該当しないもの、例えば事前に届出をせずに支給した役員賞与などは経費(損金)になりません。
このように従業員に支払う給与と比べて役員給与(報酬)には、税法上様々な制限が課されているのです。

それでは今回、上記の中から「定期同額給与」、「事前確定届出給与」の二点についてみてきましょう。

役員報酬が税務上損金として認められるための方法

➀定期同額給与
毎月の給与のこと。
1カ月以下の一定期間ごとに支払われ(定期)、各事業年度で支払われる報酬金額が同額である給与のこと。
税務署への特別な届出は不要です。

➁事前確定届出給与
役員に対する賞与のこと。
先ほどは役員に支払う賞与について、損金として認められないとお伝えしました。
しかし、現在は以下のような条件で損金にすることができます。

1:あらかじめ所轄の税務署に「事前確定届出給与に関する届出書」を提出する

2:届出書通りの支給日に記載金額を支払う
※なお、届出には提出期限が決まっているので注意しましょう。

通常の提出期限は次の日のうち、いずれか早い日です。
・株主総会などの決議をした日から1カ月以内
・会計期間開始の日(事業年度開始の日)から4カ月以内
(※ただし、新設法人の場合は設立日以降2カ月以内に提出することになります。)

役員報酬の決め方と注意点

通常、役員報酬は起業直後の会社にとっては最も大きな費用となります。
そのため、役員報酬をいくらにするかによって、会社が払う税金(法人税等)や、社長自身が払う個人の税金(所得税)が大きく変わります。

一般的な会社経営者は納税に関して、以下のうちどれかに分かれることでしょう。
そして、どの考え方を重視するかを、あなたの会社経営の方針によって柔軟に考えておく必要があります。

1. 会社ではなく、できるだけ個人に利益が残るようにしたい
例えば、一人会社で、近いうちに個人名義で住宅や車を買いたいと考えているが、その時にローン審査があるので個人所得を確保しておきたいという場合など。
個人所得が増えれば増えるほど、社会保険の負担料が大幅に増えるので、一般的にはおすすめしません。
※住宅は会社名義で買い社宅として住むという方法もあります。

2. 会社の税引後利益がなるべく残るようにしたい:
設備投資が必要で金融機関などからの融資を考えている場合は、会社の財務状況を良くするために、なるべく会社に利益が残るように役員報酬を設定したいという場合。

3. 会社と個人の区別なく手元に残るキャッシュが最も多くなるような額にしたい:
経営が安定しており、そのままの成長ペースを保ちキャッシュフローを豊富に保っておきたい場合など。
ただし、役員自身のお金を会社の運営に使う場合は、会社と役員の間での金銭貸借となります。その時は、一人会社であっても、会社は役員に利子とともにお金を返済する必要があります。

会社の損益計画が狂うと納税額も大きく狂う

役員報酬を変えられるのは期首から3ヵ月の間だけです。
そのため、その3ヵ月の間に今期の利益を正確に見積もり、その見積もりを元に最適な役員報酬の額を決めなければいけません。
(※ここで決めた役員報酬額は原則1年間変更できません。)

その際に問題となるのは会社の利益計画が幅に狂ってしまうと、法人税の納税額が大きく跳ね上がる可能性があるということです。
もちろん売上が上がるのは良いことですが、無計画に売上が伸びてしまうと、納税額もその分大幅に増えてしまうということです。

もし仮に売上の一部が期末のギリギリになって上がったものなら、すぐに納税時期がやってきます。
つまり、その売上がまだ会社にキャッシュとして入っていない場合、最悪資金繰りがショートしてしまえば黒字倒産してしまう可能性さえあるのです。

そのような状況を防ぐためには、期首にある程度しっかりとした1年の損益計画を立てて、その計画をもとに会社を運営することが必要です。

まとめ

会社設立以降に関わってくる、役員報酬の基礎知識と決定方法の説明となりましたが、ご理解いただけましたか?
役員報酬は“税金”“資金繰り”“役員自体の生活”など、多くのことに関わってきますので、その道のプロである税理士に相談してみるのもいかがでしょうか。

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