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起業家コラム

H29年法律改正 タワーマンションにかかる税金

はじめに

 

今やタワーマンション節税といえば、一度は相続対策を検討された方なら知らない人はいないだろう。

タワーマンションの時価と評価の乖離を利用した節税スキームです。

他の不動産と比べ節税効果が高い為、相続税対策したい富裕層の間で需要が高い。

実際に都心部のタワーマンションでは、価格高騰も背景に相続税評価額が時価の5分の1ほどになることも珍しくない。

同じ不動産でも、戸建てや1棟の不動産ではここまで評価が下がることはほとんどないため、タワーマンションだけの特権と言えるだろう。

現行の固定資産税額の計算方法

 

現行のタワーマンションの一室に係る資産税額は、

 

①そのタワーマンション全体の固定資産税額を算出

②①の税額を各部屋の床面積で按分する

といった方法で算定されます。

 

この方法ですと、床面積が同じであれば高層階の部屋と低層階の部屋の固定資産税額は同額となります。

しかし実際の時価(売買価額)については高層階のほうが高いのが現状です。

時価が高い高層階と時価が低い低層階で固定資産税額が同額というのは、納税者の不公平感を生む結果にもなるのです。

 

 

以下、<タワーマンション評価例>です。

・同マンション内の専有面積で回数の違う部屋※金額はイメージ

このように同じ専有面積において、高層階の部屋を購入すると、時価が高い割に評価は変わらないため、固定資産税や相続税が安く抑えられるメリットを受けられる。

 

 

平成29年度税制改正の大綱による見直し

 

平成29年度税制改正の大綱では、タワーマンションの階層の差異による実際の時価の違いを考慮し、高層階の部屋程固定資産税の負担を増やす見直しが公表されました。

 

 

・高さが60mを超える超高層建築物のうち、

・複数の階に住戸が所在しているもの(いわゆるタワーマンション)については、

・1棟のタワーマンションに係る固定資産税額を按分する基準となる各専有部分の床面積を

・階層別専有床面積補正率により補正する

 

上記の見直しが行われました。

 

階層別床面積補正率とは、階層が1階上がると税額の按分の基となる床面積が約0.26%大きくなるように設定された補正率を言います。

つまり、高層階ほど按分の基準となる床面積が増え固定資産税額も増額することになります。

なお、固定資産税額の按分についての見直しであり、固定資産税評価額についての見直しはないことからタワーマンションに係る財再評価については特に影響はありません。

 

 

 

以下、<改正後のイメージ>です。※金額はイメージ

※時価を踏まえた固定資産税の按分方法は現在検討中

 

このため、タワーマンション(特に高層階)を利用した節税対策の需要が多い。

しかし、注意しなくてはならないことがあります…。

 

 

 

 

タワーマンション節税

 

冒頭に軽くお伝えしました、タワーマンション節税についてもう少し詳しく掘り下げていきたいと思います。

 

実はこの節税対策ですが、これまでの判例で税務署がNOを出した例もあるのです。

 

例えば上記方法により節税をするため、相続開始直前にタワーマンションを購入し、被相続人が亡くなった直後に売却したらどうでしょう。

タワーマンションの実際の時価はそれほど変動しないため、売却したとしても損失リスクは少なく且つ相続税の節税にもなります。

 

このように明らかに節税をするため行われた行為は税務署から否認される可能性があるのです。

国税不服審判所:平成23年7月1日、以下のような採決がされています。

 

 

 

[概要]

・平成19年8月にタワーマンションを2億9300万円で購入

・平成19年9月に被相続人死亡

・平成20年7月にタワーマンションを相続した相続人が2億8500万円で売却

・タワーマンションの購入時と売却時の時価はほぼ同等である

納税者の主張

相続人は相続したタワーマンションにつき財産評価基本通達に基づき財産評価をし、

土地建物あわせて5800万円を相続財産として申告した。

国税当局の主張

財産評価基本通達で評価した5800万円ではなく、タワーマンションの購入価額である

2億9300万円で申告すべきであると主張した。

 

[裁決]

タワーマンションは取得価額である2億9300万円で評価するのが相当であると判断した

 

裁決の理由をまとめますと、

財産評価基本通達はあくまでも財産を評価する際の形式的な基準であり、この通達による評価が妥当ではない場合には他の合理的な方法により評価することができるということです。

上記事例ですと、仮にタワーマンションを購入せず購入資金がそのまま相続財産となった場合には、その購入資金2億9300万円がそのまま相続財産として申告することとなります。

この購入資金をタワーマンションに充てることで財産評価額を2億3500万円減らしましたが、相続開始後短期的にタワーマンションを売却したことを踏まえると、相続税を節税するためにタワーマンションを購入したものと考えられます。

したがって、短期的且つ一時的に財産の所有形態がタワーマンションになったに過ぎないものについて財産評価基本通達により評価することは、この通達による評価が妥当でない場合と認められます。

この場合には、他の合理的な方法により評価させることとなります。

 

・タワーマンションの取得日と相続開始日が近いこと

・購入時と売却時の時価はほぼ同等である

以上の根拠から取得時の時価2億9300万円で評価することが妥当であるといえます。

 

 

 

今回の改正の目的は?

 

今回の税制改正において、政府の根本的な目的はなんでしょうか。

 

そもそも今回は高層階を増税しても下層階は減税するため、全体を見ると税収増加は望めない。

そのため根本の目的としては、タワーマンションに対して大きな節税ができないような課税方法(より販売価格へ近づける)への是正であると思います。

しかし、いきなり大きな改革をしてしまうと、所有者の反発や市場への混乱を招く恐れがあるため、段階的な改革が必要なのではないでしょうか。

そのため、まずは今回のような相続税評価への影響が少ない改正をすることで、国民に評価是正を進めるための理解を得る目的があったのかもしれません。

 

 

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