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起業家コラム

あたなの会社は損していませんか?今旬な節税対策 所得拡大促進税制

所得拡大促進税制の概要

 結論から言うと、給与や賞与の支給総額を、基準年度と前年度より増加させた場合に、
その増えた給料額の10%を法人税からマイナスできる制度です。ただし、控除できる額には限度があり、中小企業等は法人税額の20%、個人や大企業は10%となります。
 それでは要件や手続きなどを詳しくみていきましょう!!

適用するための前提条件

 それではまず、この所得税拡大促進税制を適用するための前提条件を確認していきましょう。
1. 青色申告をしている
2. 雇用促進税制などの「雇用者数を増やした場合の法人税減税措置」を利用していないこと

2については、H28.4.1以降は併用が可能となりましたが、その際は調整計算が必要になります。1の青色申告は法人の場合、出していることがほとんどなので、個人事業主・中小企業から大企業まで多くの方は対象になっていると言えるでしょう。

適用するための注意点

 上記の前提条件をクリアした場合は注意点も押さえておきましょう。
1. 赤字の場合には優遇税制が適用できない
2. 遡って税額控除をすることも可能

※確定申告で別表六の二(十六)という計算明細書を添付します。
 以上の2点をクリアした方は、具体的な内容についても触れていきましょう。

この税制の適用できる期間は?

 そもそもこの税制は安倍総理が消費増税を決断しH26.4.1より8%にあがったことで、できた政策の一つです。増税をすると、それと同時に経済対策と経済成長率に歯止めをかけないための強力な政策が必要になります。当初はH28.3.31までとされていた当政策もH30.3.31まで延長となりました。また、要件も緩和されています

【当初の要件】

1. 雇用者給与等支給増加額の基準雇用者給与等支給額に対する割合が5%以上。
2. 雇用者給与等支給額が比較雇用者給与等支給額以上。
3. 平均給与等支給額は比較平均給与等支給額以上。

簡単に言えば、新規雇用かどうかは問わず、従業員(アルバイト・パートを含む)に対する賞与や給与を増やした場合にこの3つの要件を満たせば、その増加分の10%の税額控除が受けられる制度です。

延長に伴って緩和されたものは要件1です。中小企業のみの数値を挙げていきます。
1)H27.4.1よりも前に開始する適用年度  2%以上
2)H27.4.1~H28.3.31までの間に開始する適用年度 3%以上
3)H28.4.1~H30.3.31までの間に開始する適用年度 3%以上

 当初は5%以上だったものが最小で2%まで引き下げられたので、適用される企業の範囲はかなり拡がりますね。
余談ですが、増税に伴う税制の改正は以下のようなものがあげられます。
  ・研究開発税制の拡充
  ・ベンチャー投資促進税制の新設
  ・耐震改修促進税制の新設
  ・事業再編促進税制の新設
  ・中小企業投資促進税制の拡充 
       などなど・・・。
所得拡大促進税制を考える際には是非これらの背景も知っておきたいものですね。増税に際して、致命的な大きなダメージを受けるのは大企業よりもやはり中小企業です。それに伴い、この税制では優遇される中小企業者の要件もあります。
1. 株式会社など資本金がある法人
資本金が1億円以下であることが条件で、大企業のグループ会社はのぞかれる。
2. 個人事業主と医療法人など資本金がない法人
従業員が1千人以下であることが条件です。
こちらの要件も厳しいものではないので対象となる会社は比較的多いものとみられます。

給与等支給額とは

 摘要要件にでてきた「給与等支給増加額」という言葉を正確に捉える必要があります。ここでは、ポイントを押さえていきましょう。
1. 給与等の範囲
給与・賞与など所得税法の給与所得+通勤交通費
   ※退職金や給与に関する助成金を除外
 2.雇用者給与等支給額と継続雇用給与支給額の計算対象者
  雇用者給与等支給額の計算対象者=雇用保険の被保険者
  継続雇用者給与等支給額の計算対象者=雇用保険の一般被保険者
となっています。雇用人数の増減は考慮せずに計算をします。

平成29年度税制改正点

 この所得拡大促進税制は平成29年度に改正されました。(大企業については割愛しますが)その変更点は、要件は変わりませんが、雇用者給与等支給額の平均額が較雇用者給与等支給額の平均額よりも2%以上増加した場合は、基準事業年度の雇用者給与等支給額から用者給与等支給額への増加額10%と、雇用者給与等支給額から比較雇用者給与等支給額を控除した金額の12パーセントとの合計額というように、控除額を大きくするものとなりました。つまり、

1) 賃上げ率2%未満の企業
税額控除10%を維持
2) 賃上げ率2%以上の企業
前年度からの増加額について税額控除を12%上乗せ
となったわけです。

所得拡大税制のいいところ

 これまでの話の中で、多くの中小企業が適用されるだろう、ということが分かってきましたね。所得拡大税制は以下のような良い面がたくさんあります。
 ・業種、地域の限定なし
 ・事前にハローワークなどへの手続きが不要
 ・設立、開業した初年度(一期目)でも適用可能
 ・会社都合退職の有無は関係なし 
・利益を従業員に還元した金額に着目している点
 最後の「利益を従業員に還元した金額に着目」という点が、所得拡大税制の大きなポイントとなります。

所得拡大税制・雇用促進税制の併用

 H28.4.1より「雇用促進税制」と併用できるようになり、地方での雇用状況の改善を後押しする内容に見直されました。「雇用促進税制」は一定の条件を満たすと1人につき40万円の法人税(個人→所得税)の税額控除を受けられます。

【雇用促進税制の適用要件】

 ・有効求人倍率が全国平均の2/3以下の地域
 ・雇用者はフルタイム、無期雇用
 ・青色申告書を提出すること
 ・適用年度とその前事業年度に事業主都合による離職者がいないこと。
 ・適用年度に雇用者の数を5人以上(中小企業等の場合は2人以上)かつ10%以上増加          
  させていること。
 ・適用年度における給与等の支給額が比較給与等支給額以上であること。
 ・風俗営業等を営む事業主でないこと。

 ここでポイントになる点は1番上の「有効求人倍率が全国平均の2/3以下の地域であること」という要件です。つまり都市部の中小企業は自動的に雇用促進税制は適用不可になります。この併用に限って言えば、地方有利の政策になっているといえますね。

まとめ

 このように多くの企業が適用できそうな所得拡大税制。平成30年3月31日までとなっておりますので、是非ご検討ください。

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