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起業家コラム

個人が車を売ったら税金はかかるのか?

□はじめに

法人と個人事業主では税務上の取り扱いが異なります。

今回はその中でも、個人事業主が車両を売却した時の留意点をいくつかみていきましょう。

□車両売却の基礎知識

通常法人が所有する自動車を売却した際、利益が出た場合には固定資産売却益、損失が出た場合には固定資産売却損として、損益に反映させることになります。

しかし、個人事業主が事業用の自動車を売却した場合に出た売却益、売却損は事業所得には反映させてはいけません

結論からすると、個人事業で使用していた車両を売却した際に生じた売却益は、総合課税の譲渡所得として取り扱われます

さらに問題はここからです。

個人事業で車両を使用している方の場合、100%事業用として取り扱っていない場合も多いのではないでしょうか。

つまり、自家用としても利用しているので、毎期の減価償却費のうち80%を事業所得上の損金として取り扱っているというようなケースです。

この場合、上記のような車両の売却益のうち、一体いくらの金額を譲渡所得(総合所得)として申告すべきかが問題となります。

□譲渡所得の計算について

下記、国税庁HPから抜粋した内容です。

“タックスアンサーNo.3105 譲渡所得の対象となる資産と課税方法”

資産の譲渡による所得のうち、次の所得については課税されません。

(1)生活用動産の譲渡による所得

家具、じゅう器、通勤用の自動車、衣服などの生活に通常必要な動産の譲渡による所得です。

以上のように明記されている通り、そもそも生活用動産の譲渡による所得については、所得税が課せられないこととされています。

そして、生活用動産の例として“通勤用の自動車”が挙げられていますので、純粋に個人の車両を売却した場合には所得税がかからないことになります。

したがって、理論的には、

【(売却価格-簿価)×事業利用割合】をベースに譲渡所得の金額を計算すべきと考えられますが、譲渡所得(総合課税)の場合、50万円の控除が認められております。

売却益が出るケースが稀なのかもしれませんが、例えば車両買換え時に下取り車の価格を高く設定するということも考えられます。

そうなると、簿価よりも実際の売却値が上回ることもあるため、稀に売却益が生じます。

□まとめ

結論としては、上記で述べたように事業利用割合を加味し、譲渡所得を計算しても良いでしょう。

では、事業用割合が100%ではない場合の譲渡所得の計算(所有期間が5年以下の場合)は以下のようになるようです。

{(売却価格-簿価)-特別控除50万円}×事業用割合

と、実際確定申告をしてみるまでは上記のようになると考えていたのですが、

国税庁の確定申告書の作成コーナーで譲渡所得の申告書を作成しようとしたところ

「譲渡資産にかかる償却費相当額」の注として「(注)仮に毎年の減価償却費の額を必要経費としていない部分があったとしても、毎年の減価償却費の合計額とすることに変わりありません。」という記載がされていました。

と言うことは、売却収入を“売却価格×事業用割合”で調整するか、

あるいは、“事業用割合が何%であろうと、全額が譲渡所得として扱われる”という、どちらかということになります。

仮に売却収入を調整しようとすると

「売却価格×事業用割合―減価償却費―特別控除」ということになりますが、簿価全額を取得費とみなして売却益を計算することになるので理論的ではありません。

したがって、結論としては過去に減価償却費を何%損金算入していたとしても、売却益全額が譲渡所得として取り扱われるということになると考えられます。

生活用動産であれば課税されないので、なんとなく不公平な感じがしますが、以下のように整理できるのではないかと思います。

所得税法における原理原則としては、上記のとおり譲渡所得として処理する方法であるが、事業所得の計算上、固定資産売却益を計上するという選択肢もあり得る。

事業所得の計算上、固定資産売却益を計上した場合、理論的には

”売却益×事業用割合”が所得に参入されることになると考えられるが、一方で譲渡所得の計算によった場合は特別控除(50万円)があるので、結果的には譲渡所得として処理したほうが有利である可能性が高い

そのため、過去の損金参入割合に関わらず譲渡所得の計算上はグロスで譲渡益が算出される、ということではないでしょうか。

仮に事業用割合が小さく譲渡所得して処理すると不合理だと言うことであれば、事業所得計算上、事業用割合分の固定資産売却益を計上して事業所得を計算するという処理も認められるのではないかと思います。

なお、固定資産売却益を計上する方法を採用した場合、途中で事業用割合を変更している場合はどうするのかという問題もありますが、この場合は

”過去に事業経費として計上した減価償却費/減価償却累計額“で割合を算出するのが理論的ではないかと考えます。

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